台風23号 道路襲う泥水、暴雨 別大国道が冠水 |
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台風23号は20日午前、県内に暴風雨をもたらし、臼杵市で行方不明一人、大分市でけが人一人が出た。大分市などで土砂崩れが発生。佐伯市では番匠川が危険水位を超えた。別府市は土砂崩れを警戒して住民に避難を指示。宇目町や直川村、大分市、蒲江町が避難勧告を出したほか、各地で自主避難が相次いだ。公共交通機関はほぼまひし、大分市と別府市を結ぶ別大国道(国道10号)は冠水で全面的に通行不能。通勤の足が大混乱した。小中高校のほとんどが臨時休校か自宅待機となった。 午前7時55分ごろ、大分市高崎の大分マリーンパレス水族館「うみたまご」前の別大国道が上下線とも冠水。通行できなくなった。通勤時間帯と重なり、渋滞した。大分空港行きの高速バスに乗っていた大分市松岡の会社員、平下尚さん(43)は「仕事で東京に行く予定だったが仕方がない。飛行機はキャンセルしました」。「うみたまご」はオープンの時間を繰り下げ。「開館以来、こんなことは初めて」と職員。 午前7時半ごろ、臼杵市内の新聞販売所から臼杵消防署に「配達員が帰ってこない」と通報があった。臼杵署などによると、行方が分からなくなっているのは板井弘さん(42)=市内あすとぴあ=。風雨が強くなり始めたころ配達していたとみられ、同署などで配達区域を中心に捜している。 大分市で女性けが 大分市賀来の市道大分港―賀来線で、午前7時半ごろ、土砂崩れがあり、通行止めになった。 津久見市津久見の県道佐伯津久見線彦ノ内交差点で側溝から水があふれ、約50メートル四方が冠水した。午前6時15分、付近が通行止めとなった。 臼杵川の増水による冠水で、国道502号の臼杵市土橋と障子岩の間約5キロが通行止めになった。 交通機関は運休相次ぐ 【定期航路】大分、臼杵、別府、竹田津、佐賀関の各港と本州、四国とを結ぶ便や大分ホーバーフェリーが始発便から欠航した。 【JR】特急は各路線で運休。普通列車は、豊肥線が豊後竹田まで始発から運休し、日豊線が柳ケ浦駅以南が運転を見合わせた。豊肥線は午前8時15分から、大分―豊後森間で運転を見合わせた。 【高速道路】東九州自動車道は午前5時15分から、大分空港道路は午前8時55分から、全線通行止めになった。大分自動車道も大分IC―別府IC間が一時通行止めとなった。 【バス】路線バスは佐伯、大分、臼杵、津久見各市内で一部を除いて午前中から運行を見合わせた。高速バスは大分―鹿児島便「トロピカル」が全便運休。大分―延岡便「わかあゆ」は始発便が運休した。大分―熊本便「やまびこ」は午前9時半以降の便の運行を見合わせた。 【空の便】全日空と日本航空グループは始発便など一部を除いて大分と東京、大阪、沖縄を結ぶ午前中から夕方にかけての便を欠航にした。 |
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県中南部激しい雨 500ミリ超える | ||||||||
県内は20日、九州の南方を通過した台風23号の影響で、激しい風雨となり、午後4時ごろ、風速25メートル以上の暴風域を抜けた。宇目で降り始め(18日正午)からの総雨量が5〇〇ミリを超えた。大分地方気象台は同日、43市町村が過去数年間で最も土砂災害の危険が高まったとして、最大級の警戒を促した。 気象台によると、県内は秋雨前線の影響で、18日午後に雨が降り始め、台風の北上に伴って南から湿った空気が流れ込み、前線を刺激。19日は台風の発達した雨雲がかかり、断続的に雨が降った。 20日は南部、中部を中心に激しく雨が降り、1時間雨量は蒲江で60ミリ(午前10時まで)、竹田市倉木、宇目、蒲江(同九時まで)で50ミリを超えた。降り始めから午後6時までの総雨量は▽宇目 501ミリ▽蒲江 473ミリ▽佐伯 471ミリ▽野津町出羽 468ミリ▽大分 400ミリ。 これまでの雨で地盤が緩み、土砂災害が起きやすいため警戒が必要と気象台は注意を呼び掛けている。 防波堤が倒壊漁船も粉々に 臼杵で被害 柿ノ浦の漁港では、高さ4メートルの防波堤が約百メートルにわたって倒壊。港内に係留していた漁船15隻のうち、2隻は粉々になった。 破磯では、古い石積み防波堤と物揚げ場が全壊。泊ケ内でも、高さ7メートルの防波堤が約60メートル倒壊するなどした。 後藤国利市長は「これほどの被害は記憶にない。動ける限りの職員で救済活動を始め、早期に住民の不安解消に努めたい。市民からも義援金を募りたい」と話した。 |
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台風23号 不明男性、遺体で発見 避難勧告・指示1117世帯に | ||||||||
県内に大きな被害をもたらした台風23号。県の20日現在のまとめによると、死者1人、けが人は7人。避難指示・勧告はことしの台風で最も多い1117世帯・863人(未確認分は除く)が対象となり、222世帯・541人が自主避難した。冠水や土砂崩れなどで各地の道路は寸断され、蒲江町は孤立状態となった。農業や水産業被害は、これから拡大しそう。県災害対策本部によると、佐伯市や蒲江町で26棟が床上浸水、別府市や三重町などで73棟が床下浸水した。土砂崩れや地滑りにより、野津町や三重町、大分市で家屋の柱や屋根が破損した。国や県が管理する道路は、佐伯市の国道388号や山国町の国道496号、県道三重弥生線などの138カ所で、のり面崩壊や倒木があり、全面通行止めや片側通行となった。復旧を終えたところから順次、解除している。農業は大分市や庄内町、大野町など10市町で、ニラやイチゴ、スイートピーのハウスが冠水や倒壊の被害。水産業関連は、臼杵市や津久見市で漁港施設が損壊し、漁船が沈没した、との報告もある。 臼杵市で20日朝から行方が分からなくなっていた同市あすとぴあ、新聞配達員板井弘さん(42)は同日午後3時、市内末広の末広川白木谷橋下で遺体で見つかった。臼杵署は、ミニバイクに乗って新聞を配っているうちに誤って転落したのではないかとみて調べている。捜索していた近くの人が見つけた。 臼杵市で、男性(68)の手に風で飛ばされた鉄片が当たり、別の男性(55)は高波をかぶった際、何かが顔に当たり、それぞれ軽いけがをした。 佐伯も孤立地区続出 下堅田小学校には午前10時ごろから、近くの泥谷地区の高齢者や子どもたちなど約100人が自主避難した。道路が深さ1メートル以上も冠水したためで、正午をすぎても増水は続き、昼食を取れない状態が続いた。 市は午後3時半ごろ、市内で訓練中の陸上自衛隊湯布院駐屯地西部方面特科隊第132特科大隊第2中隊に支援され、おにぎりやお茶、毛布を大型トラックで小学校に運んだ。佐藤佑一市長らが住民に手渡した。住民の一人は「こんなに水が出たのは1961年の集中豪雨以来」と話した。 防波堤80メートルが崩壊、7隻沈没 津久見市 午前から風雨と波が強く、崩壊後、地区住民らが船を流されないよう係留する作業をした。 赤崎地区の新田勝盛区長は「このような波と風は見たことがない。船の係留場がなくなった上、これから季節風が直接、港に入るようになる。何とかしてほしい」と訴えている。 横一文字防波堤も 防波堤(長さ2.75キロ)は、大在公共埠頭(ふとう)と七号地への高波を防ぐために設けられた。長さ15メートル、幅8メートル、高さ12メートルのコンクリートブロックを並べ、ブロックに砂を詰めて安定させる構造。ブロック上部に高さ2.8メートルの波返しがある。 土砂崩れで4人が負傷 犬飼町 三重署などによると、4人はいずれも社団法人九州建設弘済会職員。頭や首、腹などに数日から2週間のけがをした。 崩壊の規模は高さ、幅とも約30メートル。詰め所は国道57号犬飼バイパス工事に伴って設けられたプレハブ平屋(約60平方メートル)。土砂で押し流された上、倒れた樹木が覆いかぶさり、屋根やガラスなどが破損した。 佐伯湾の浅瀬 貨物船乗り上げる 番匠川が史上最高水位記録 番匠川が国の直轄になった1951年以降、これまでの最高は97年の6.02メートル(台風19号)だった。 今回の水位は、番匠川の警戒水位3.5メートルを2メートル以上も超えた。さらに濁流が堤防を越える「計画高水位」の6.37メートルまで後わずかだった。 原因は上流部の本匠村、直川村の降水量が450ミリから550ミリの大雨だったため。 大分市などで停電 |
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