琢磨3位、日本人14年ぶりの表彰台!優勝はM・シューマッハ |
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レースは10台がリタイアし、1台が失格となる波乱の展開。3番手スタートの佐藤は一時10位前後まで落ちたが盛り返し、終盤にヤルノ・トゥルーリ(イタリア、ルノー)との競り合いを制して3位に入った。 ミヒャエル・シューマッハー(ドイツ、フェラーリ)が1時間40分29秒914(平均時速182・698キロ)で優勝し、今季8勝目、通算78勝目を挙げた。 ほかの日本勢はオリビエ・パニス(フランス、トヨタ)が5位、ジェンソン・バトン(英国、BARホンダ)とクリスティアーノ・ダマッタ(ブラジル、トヨタ)はリタイアした。 |
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〔写真:3位に入り、シャンパンを手に喜ぶ佐藤琢磨(AP=共同)〕 |
◆攻めの姿勢は衰えない-快挙にも頂点見つめる佐藤 | ||
「プッシュし続けて、こうした結果を残すことができた」。快挙は持ち前の攻撃的な走りでつかんだ。クラッシュが相次ぎ、セーフティーカーが2度も入る序盤の混乱の中、1度目のピットストップで大きく順位を下げた。だが、ここからが見せ場。接触すれすれでも構わずアクセルを踏み、次々と前の車を抜く。62周目、トゥルーリとの競り合いでは両者ともにコースアウト。だが、芝の上でも速度を緩めず、執念で3位に上がった。 エンジンの故障から3戦連続でリタイアとなり、いつもの明るい表情が曇ったのは、つい1週間前のカナダGPだった。それでも自分のスタイルは変えなかった。「メカニックや、日本のエンジニアがすごくよくやってくれた」。自転車選手から転向し、単身で英国に渡ったのが1998年。世界各国の記者が集まる会見でも流ちょうな英語で感激を伝えた。 圧倒的強さを示しているフェラーリの2台には差をつけられた。だが、今季の残り9レースを見つめ「まだシーズンは前半。折り返してからも頑張り続けます」。まだ抜くべき相手がいる。佐藤の「攻め」は頂点に立つまで衰えない。(共同) |
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〔写真:日本人として14年ぶりに3位に入った佐藤琢磨のマシン(AP=共同)〕 |
◆強豪にも気後れしない-攻撃的なレース運びの佐藤 | ||
ピット回数など戦略が順位を左右するレースが増える中、佐藤は「前の車を追い抜く」本能的ともいえるドライビングが持ち味。モナコGPではスタート直後にM・シューマッハー(ドイツ、フェラーリ)と前輪を接触させ、はじき飛ばすようにして前へ出た。欧州GPでは3位確保に思えた終盤に2位を狙ってバリチェロ(ブラジル、フェラーリ)と接触するなど、強豪に気後れしない走りで、海外メディアから「エンターテインメントだ」と評される存在感を示した。 日本人ドライバーの表彰台は、鈴木亜久里(ローラ・ランボルギーニ)が3位になった1990年日本GPの1度だけだったが、この時は優勝候補が次々とリタイア。その鈴木氏が「わたしはほかの車がクラッシュしてうまくいった。今の佐藤とチームの状態なら自力で上がれる」と今季序盤から予想していた。 「フェラーリとの差も徐々に詰まってきている」。圧倒的な強さで首位に立つフェラーリ勢を向こうに回し、米国GPではこんな発言も飛び出した。フル参戦2年目の今季、「タクマ」はF1界に新風を送り込んでいる。(共同) |
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〔写真:F1米国グランプリの表彰式を終え、観衆に手を振る3位の佐藤琢磨(右)と優勝のM・シューマッハー(AP=共同)〕 |
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◆記念のGPで5位入賞-トヨタのパニス |
F1で150戦目を迎えたトヨタのパニスが5位に入賞した。「記念すべきグランプリで4ポイント獲得という素晴らしいプレゼントを得て、とても幸せだ」と今季チーム最高の成績に満足そうだった。 前戦のカナダGPは、車両規定違反でトヨタの2台が失格。それだけに高橋敬三技術ディレクターは「パニスもスタッフも、全力を出し切って最高の結果をたたき出してくれた」と雪辱を喜んだ。(共同) |
◆弟心配しながら8勝目-M・シューマッハ | ||
〔写真:日本人として14年ぶりに表彰台に立った佐藤琢磨(中央)は、優勝したM・シューマッハー(右)と抱き合って喜ぶ(AP=共同)〕 |
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■鈴木亜久里氏の話 「いつ表彰台に立ってくれるのか待ち遠しかった。車の状況を見ていると、3位どころか、いつでも表彰台の真ん中に立てると思うので、残りのシーズンもぜひ頑張ってほしい」 |
〔写真右:3位でゴール後、マシンの上に立って喜ぶ佐藤琢磨(AP=共同)〕 |
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